CPUの型番から性能がわかる?IntelとAMDそれぞれ解説
投稿日:2021年1月8日 更新日:
CPUは、型番やスペックをみるとある程度処理性能を比較できます。スペックに関しては単純に考えると
処理速度の速いCPU
- クロック周波数が高い
- コア数、スレッド数が多い
となります(もちろん一概には言えませんが)。 型番からも性能差をある程度予想ができます。以下で詳しく解説します。
メーカーによる違い
CPUのメーカーといえばIntelとAMDの2社が有名です。 かつては、IntelのCPUの方が、シングルスレッド性能が高く多くのソフトやハードとも相性が良い、AMDはマルチスレッド性能が高い、と言われていましたが、近年ではAMDのCPUがシングルスレッド性能でもIntelを凌駕しつつあると言われていたりと、正直どちらを選んでも大きな問題はないと考えています。
現在新たにPCを買うまたは組むという場合、コストと性能の面からIntelではCore iシリーズ、AMDではRyzenシリーズの中から選ぶ人が大多数だと思います。ここでもCore iシリーズとRyzenシリーズを中心として扱っていきます。
Intel CPU
ここでIntel CPUの例としてCore i3-10100Fを取り上げてみます。この型番を分解してみると以下のようになります。
- Core : ブランド名
- i3:シリーズ名
- 10100:プロセッサナンバー
- F:接尾語
ブランド名
IntelのCPUは、性能の高い順から
Xeon > Core > Pentium > Celeron > Atom
というブランドがあります。ただしCPUは日々性能が向上しているため、性能の低かったブランドが上位のブランドを追い越していることもあります。一般的に、性能が高いほど価格が高く、性能が低いほど消費電力が低い傾向にあります。
Xeonはサーバ、ワークステーション向けのブランドのため、あまり個人所有PCでは一般的でありません。Celeron、Atomは低価格ノートパソコンやタブレット等のモバイル端末に使われることが多いです。個人所有PCとしては、手の届く価格帯かつ高性能であるCoreプロセッサが一般的です。
シリーズ名
Coreプロセッサには処理速度の速い方から
Core i9 > Core i7 > Core i5 > Core i3
というシリーズが存在します(前世代のCore 2シリーズというのも存在します)。数字が大きいほど高性能ということになりますが、その分値段も高くなります。
プロセッサナンバー
シリーズ名の後に続く3~5桁の数字がプロセッサナンバーになります。最初の1桁または2桁の数字が世代を表し、新しい世代ほど性能が上です。ただし第一世代は世代を表す数字が存在せず、プロセッサナンバー全体が3桁になります。
プロセッサナンバー | 世代 |
---|---|
xxx | 第1世代 |
2xxx | 第2世代 |
3xxx | 第3世代 |
・・ | ・・ |
9xxx | 第9世代 |
10xxx | 第10世代 |
11xxx | 第11世代 |
x: 任意の数字
世代を表す数字の後に続く3桁の数字はマイナーチェンジであるため、この値が違っていても同じ世代であればそこまで性能に差がありません(数字が大きいほど性能が若干上の傾向はある模様)。
処理速度比較の例
- Core i3-10100F > Core i3-9100F
- Core i5-9600 > Core i5-9500
接尾語
プロセッサナンバーの後にアルファベット(接尾語)が付いているCPUがあります。このアルファベットはCPUの用途や機能を意味しています。主要なものを以下に示します。省電力と処理能力はトレードオフの関係にありますので、省電力モデルだと処理速度が遅めになっています。
デスクトップ向け
- X(XE, EE):超高性能モデル(オーバークロックも可能)
- K:オーバークロック可能モデル(性能も高めに設定)
- 無印:通常モデル
- F:CPU内臓グラフィック非搭載モデル ※1
- T(S):省電力モデル
- K:オーバークロック可能モデル(性能も高めに設定)
モバイル向け
- HK:モバイル向け高性能モデル(オーバークロック可)
- H(HQ):モバイル向け高性能モデル
- G1-G7:グラフィック性能表示(値が大きいほど高性能)
- M:モバイル向け通常モデル
- U:モバイル向け省電力モデル
- Y:モバイル向け超省電力モデル
※1 Core iシリーズは、F以外はCPU内臓グラフィック搭載しているため、グラフィックボードがなくても画面表示が可能
処理速度比較の例
Core i9-10900K > Core i9-10900 > Core i9-10900T
AMD CPU
ここではAMD CPUの例としてRyzen 5 2600Xを取り上げてみます。この型番を分解してみると以下のようになります。
- Ryzen : ブランド名
- 5:シリーズ名
- 2600:プロセッサナンバー
- X:接尾語
ブランド名
AMDのCPUは、性能の高い順から
Epyc > Ryzen > Athlon
というブランドがあります。こちらも年代の異なるものを比較すると順序が入れ替わる可能性があります。 現在では個人所有PCとしてはRyzenが一般的で、Epycはワークステーション向け、Athlonは廉価CPUに位置します。
Intel CPUとの対応関係
これまでに生産されていたブランドとしてさまざまなものがありますがそれも含めて、IntelのCPUとの対応関係(対抗馬)は下の表の通りなると思われます(斜字体:生産終了しているもの)。
Intel CPU | AMD CPU |
---|---|
Xeon | Epyc / Opteron |
Core X ※2 | Ryzen Threadripper |
Core i9 – i3 | Ryzen 9 – 3 / FX |
Core 2 | Phenom |
Pentium | Athlon / K6 |
Celeron / Atom | Sempron |
※2 接尾語がXのCore iシリーズ
シリーズ名
Ryzenプロセッサのシリーズは、IntelのCore iシリーズと似ており、
Ryzen Threadripper > Ryzen 9 > Ryzen 7 > Ryzen 5 > Ryzen 3
の順に性能の高いものが並びます。
プロセッサナンバー
シリーズ名の後に続く4桁の数字がRyzenにおけるプロセッサナンバーになります。最初の1桁目の数字が世代を表しますが、Intel Core iシリーズと比べて少し複雑になっています。
プロセッサナンバー | デスクトップ向けCPU | APU※3, モバイル向けCPU |
---|---|---|
1xxx | 第1世代(Zen) | – |
2xxx | 第2世代(Zen+) | 第1世代(Zen) |
3xxx | 第3世代(Zen2) | 第2世代(Zen+) |
4xxx | 第3世代(Zen2) | 第3世代(Zen2) |
5xxx | 第4世代(Zen3) | 第4世代(Zen3) |
※3 APU: ある程度のグラフィック性能を持つGPUをCPUに組み込んだもの
デスクトップ向けCPUとAPUやモバイル向けCPUとでは、少し世代の番号がずれています。
世代を示す1桁目の後の2~3桁目の数字は、大きいほど性能の高い傾向があるようです。
処理速度比較の例
- Ryzen 5 3600X > Ryzen 5 2600X
- Ryzen 5 2600X > Ryzen 5 2500X
接尾語
プロセッサナンバーの後にアルファベット(接尾語)が付いているCPUがあります。このアルファベットはCPUの用途や機能を意味しています。主要なものを以下に示します。
デスクトップ向け
- X:超高性能モデル
- G:CPU内臓グラフィック搭載モデル※4
- 無印:通常モデル
- S:CPU内臓グラフィック搭載※4、省電力モデル
- T(E):省電力モデル
モバイル向け
- H:モバイル向け高性能モデル
- U:モバイル向け標準モデル
※4 RyzenはG、S以外はCPU内臓グラフィック非搭載なため、グラフィックボードが別途必要
処理速度比較の例
Ryzen 5 2600X > Ryzen 5 2600
使用PCのCPU名を確認する方法
Windows 10の場合
スタートメニュー > 設定 > システム > 詳細設定
と選択していくと「プロセッサ」の欄に、CPUの型番が書いてあります。
Linuxの場合
端末で以下のコマンドを入力します。
$ cat /proc/cpuinfo
Macの場合
端末で以下のコマンドを入力します。
$ sysctl machdep.cpu.brand_string
型番から性能比較するときの注意点
CPUの型番からある程度性能の比較ができますが、ブランドや世代の両方が異なっている場合などの比較は難しいです。そういうときはCPUの性能を示す指標であるベンチマークを見ると参考になります。 CPUのベンチマークについてはこちらもどうぞ。
また処理性能が高くても、消費電力(TDP)が大きいと発熱や電気代がすごいことになるので注意しましょう。
まとめ
PCUの型番から、処理速度を比較すると以下のようになります(ただし接尾語からモバイル向けは省いています)。